当館評議員で長崎大学客員教授の一盛和世先生は、蚊が媒介する寄生虫病、リンパ系フィラリア症対策の専門家です。象皮病や陰嚢水腫を起こすこの病気は「貧困の病気」といわれ、日本は1970年代に制圧しましたが、現在でもアジア・アフリカを中心に約5,100万人以上が罹患しているといわれます(当館2階の展示も参照)。
一盛先生は、1992〜2014年に世界保健機関(WHO)に勤務し、媒介蚊の研究と対策を推進し、太平洋諸国・諸地域において、さらに全世界に向けてリンパ系フィラリア症制圧計画を策定・実施しました。その結果、これまでに17の国・地域で本症が制圧されました。途上国の貧しい人々を苦しめてきた熱帯病の制圧に道を開いた、一盛先生の国際貢献が高く評価されました。一盛先生、心からお祝い申し上げます。【倉持】