「今年(2019年)のカツオにはアニサキスは少ない―目黒寄生虫館による調査結果」(研究情報 2019/11/07)

 今年のカツオのアニサキス寄生状況と、アニサキス食中毒の発生はどうなのでしょうか? その疑問に答えようと、目黒寄生虫館では独自にアニサキスの寄生状況調査をしました。今年5月から10月までに太平洋沿岸で漁獲されたカツオを10回、計50尾を調べました。
 その結果、アニサキスが筋肉に寄生していたカツオの割合は14%で、昨年と大差ありませんでしたが、筋肉寄生のアニサキスの数はカツオ1尾あたり1.1虫体、昨年の約1/4で、大きく減少していました。
 厚生労働省の食中毒統計資料によれば、年始から10月までのカツオが原因とされるアニサキス食中毒件数は、昨年の83件に対し今年は7件に留まっており、今年の寄生数の低さを反映していると考えられます。
 このように、カツオのアニサキス寄生状況は大きく年変動することが分かりました。今後も継続的なモニタリングと情報提供、そのための仕組みづくりが求められています。
【小川和夫、巖城 隆、髙野剛史、佐田直也】