2026年4月16日

マレーシアでドレッジ調査


 4月5~10日にかけて、マレーシアのランカウイ島でドレッジ調査を行いました。本調査は(公財)長尾自然環境財団による活動「マレーシアにおける海生無脊椎動物の生物多様性」(代表:国立科学博物館 藤田敏彦博士)の一環です。
 現地で船をチャーターし、島の北部と南部の計15地点で調査を行い、参加者が研究対象とする棘皮動物・軟体動物・貝形虫を中心に採集しました。また出港前などに、船着き場近くのマングローブ環境でも生物調査を実施しました。ホテルに戻ってからは、各々が専門とする生物について生体の写真を撮影し、標本を作製しました。
 調査地は細かな泥底で、生物がほとんど見られない地点もありました。それでも、私(高野)が研究している寄生性巻貝類をはじめ、様々な巻貝・二枚貝・ツノガイを得ることができました。日本には分布していないと思われるものも多く含まれます。マレーシアでの生物調査は今後も続きます。どのようなものに出会えるのか、最終的にどのような生物相が明らかとなるのか、とても楽しみです。【高野】

2026年4月1日

農林水産省と「食品安全シンポジウム」を共催しました

 「見えない敵と加熱/冷凍の科学〜寄生虫・カンピロバクターから身を守る〜」と題したこのシンポジウムは、3月19日に東京新宿区のコモレ四谷タワーで開催されました。寄生虫や細菌類をよく理解することで、食中毒を未然に防ごうというのが趣旨です。第1部では、麻布大学獣医学部の森田教授が鶏肉の生食が原因で起こるカンピロバクター食中毒について、立命館大学食マネジメント学部の和田教授が心理学の立場から食の安全と安心について、私(倉持)はアニサキスやクドアなど寄生虫についてそれぞれ講演し、第2部は消費科学センターの井岡理事を交えてのパネルディスカッションでした。食品業界、食品衛生にかかわる各種団体、行政などの方々に一般の方々、合わせて70名近くお集まりいただき、加えてオンライン参加の方々。食中毒問題が深刻で、皆さんのご心配が覗われました。正しい知識で正しく予防。これは当館設立の趣旨の一つでもあり、改めて皆さんに伝えられて良かったです。【倉持】

2026年3月29日

山梨県でミヤイリガイ採集


  ミヤイリガイは日本住血吸虫の中間宿主となる巻貝で、研究室内でこの虫の継代・感染実験を行っている研究グループは、定期的にサンプリングを行っています。寄生虫学会大会終了後に直接山梨県へ向かい、翌日の調査に同行しました。
 私(高野)はミヤイリガイの遺伝学的研究を進めています。そのために昨年もいくつか採集したのですが、今回は少し離れた、「分布している」という情報だけいただいた地点も訪れました。最近は雨が少なく生息地はカラカラに乾いていましたが、貝は逞しく生きていました。しっかり採集することができ、実りのある調査となりました。今後の実験・解析が楽しみです。【高野】

2026年3月28日

第95回日本寄生虫学会大会に参加しました

 今年の大会は3月21・22日に神奈川県相模原市の北里大学で開かれました。前日の20日には恒例のサテライトミーティング、生態学・疫学談話会がありました。巖城研究室長をはじめ、髙野・佐田両研究員、私(倉持)は全日程に参加し、髙野さんはギンザメの寄生虫について「遺伝子情報から探る日本近海産ギロコチレ属条虫の多様性」を発表、私は座長を務めました。寄生虫学といっても、私たちのような寄生虫の自然史研究から、例えば寄生虫のワクチン開発まで研究分野は多様です。学会は、ほかの分野の研究者の成果を聞き、交流するだいじな場です。また、2026年3月26日のブログ記事にあるように、学会に合わせてご来館になる方もいらっしゃいます。
 本大会ではもう一つ話題がありました。当財団で評議員を務める狩野繁之博士(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療研究所)が、桂田賞を受賞されました。桂田賞は昭和23(1948)年から続く伝統ある栄誉の高い賞で、寄生虫学振興に寄与し集大成された研究業績を顕彰するものです。基礎研究から流行地の現地対策まで、狩野博士による一貫したマラリア研究が高く評価されての受賞です。狩野先生、おめでとうございます。【倉持】

2026年3月27日

講演会「地球環境史学」の講師を務めました

 1ヶ月以上前のことですが、去る2月15日、私(倉持)は静岡県の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」よりご招待いただき講演しました。これは同館が行うオムニバス授業「地球環境史学」のひとつで、私は「史料で辿(たど)る日本住血吸虫症制圧の物語」という題目で1時間半ほどお話ししました。なぜ日本住血吸虫症かというと、静岡県にもかつては小さな流行地があったためです。本症の大流行地だった山梨県甲府盆地(2026年2月19日のブログ記事参照)を流れる笛吹川と釜無川は、合流して富士川となって静岡県を流れます。つまり名前はちがっても同じ川が流れているわけで、富士川沿いにも流行地があってもおかしくありません。ところが現在までのところ、その証拠も資料も見つかっていません。【倉持】