2025年7月2日

兵庫県立大学 環境人間研究科の明尾亮佑さんが来館されました

 6月25〜27日に兵庫県立大学 環境人間研究科・博士前期課程の明尾亮佑さんが,大野善右衛門博士の標本コレクション閲覧のため来館されました。
 故・大野博士は、哺乳類や鳥類の外部寄生虫類(ノミ、シラミ、ダニなど)について著名な業績のある研究者です。また、大野博士は1974年から当館に研究員として在籍され、当館にプレパラート標本約12,000点を寄贈されています。
 明尾さんは、コウモリのノミ類の標本を3日に渡って熱心に観察されました。日本では、ノミ類の分類学的研究は1960年代以降あまり進んでおらず、現在、ノミ類を専門とする研究者は大変少ないそうです。当館所蔵の標本が時を経て若い研究者に活用され、研究が綿々と引き継がれる様を見て、大変嬉しく思いました。 【巖城】

2025年6月28日

館山の磯で寄生貝調査


 6月25日、千葉県館山市の磯で寄生性巻貝の生態調査を実施しました。私は普段ウニやヒトデに寄生するハナゴウナ科の種を研究対象にしていますが、今回のターゲットはイソギンチャクに寄生するイトカケガイ科の巻貝です。これからも少しずつ、色々な分野に挑戦していきたいと思います。なお、黄色い帽子はお揃いで買ったわけではなく、磯調査の許可を得ている証です。【高野】

2025年6月27日

安城市でのカエル採集

  6月21日に寄生虫調査用のカエル採集のために、愛知県安城市へ行きました。当日は主に水田を調査しました。晴れで気温も高かったですが、風があり多少動きやすかったです。途中、ケリ(チドリの仲間)がけたたましく鳴きながら頭上を旋回し威嚇してきました。ケリに追いやられ場所を変えたりしましたが、ツチガエル、ヌマガエル、トノサマガエルを捕まえることができました。カエル以外ではスッポンと出会いました。スッポンは捕獲して写真だけ撮影し、すぐに逃がしました。

 持ち帰ったカエルを解剖したところ、目的の線虫1種の他に、吸虫2種、条虫1種が得られました。久しぶりに当たりの調査となりました。【佐田】

変態したてのカエル。5匹いる。

スッポン。けっこう素早い。

2025年6月18日

山梨県でミヤイリガイの調査


 ミヤイリガイは日本住血吸虫の中間宿主として知られ、寄生虫研究者の間で最も有名な巻貝かもしれません。6月14日、山梨県でミヤイリガイの採集をする機会をいただきました。日本住血吸虫の継代・感染実験を行っている研究グループが、実験室内で吸虫を発育させるため、定期的にミヤイリガイを採集しています。今回はそのサンプリングに同行しました。かつて山梨県では、「地方病」の原因として恐れられた日本住血吸虫ですが、今では終息宣言も出ており安全です。一方ミヤイリガイは、日本住血吸虫撲滅の過程で著しく数を減らしてしまいました。研究の推進と自然界での貝の維持。これらの両立が求められます。

 私は海の寄生性貝類を対象に研究をしているため、貝のサンプリングはよく実施しますが、生きたミヤイリガイを見たのは初めてです。寄生虫館で研究をしているからこその調査を経験できたと思います。余談ですが、カブトエビもたくさんいて驚きました。【高野】

2025年6月11日

国立研究開発法人 水産研究・教育機構(三重県)の新田理人博士が来館されました

 6月6日午前に水産研究・教育機構の新田理人博士が、当館が所蔵する魚類の粘液胞子虫の標本を観察するため来館されました。対象の標本はプレパラートでなく、エタノールまたはホルマリン液浸標本だったので、写真のようにスクリュー瓶からシスト(嚢胞)を取り出し、実体顕微鏡下でスライドグラス上に一部を載せて観察する手順が必要でした。また、所蔵している粘液胞子虫タイプ標本の有効性についていくつか指摘をいただいたので、今後、標本提供者とも協議して情報を整理します。この日は、新田さんが研究論文に使われた単生類標本も、当館登録のため受領しました。【巖城】