2021年11月27日

科博でクジラの胃の調査


 11月25日、国立科学博物館筑波研究施設で、ストランディングしたコマッコウの胃を調べる機会をいただき、当館から私(高野)がアニサキス類狙いで参加しました。が、通常は仕分け切れないほどいるというアニサキス類がほとんどおらず。お世話になった鯨類研究者の方からも「高野さん、もってないねー」をいただいてしまいました。自然が相手なので、いつもうまくいくとは限りません。
 クジラの調査は初めてだったので、大変良い経験になりました。機会があればリベンジしたいと思います。【高野】

2021年11月21日

小笠原で寄生貝調査(後編):父島

調査の後半は父島に滞在しました。海岸から少し泳ぐとサンゴ礁が発達しており、様々な動物がみられます。

ご紹介するのは、ウニ寄生の巻貝の中でも特に変わった種類です。
バクダンウニトゲヤドリニナは、バクダンウニの棘を変形させ、その中で暮らしています。棘の中には卵がたくさん産みつけられており、棘に開いた僅かな隙間から幼生が放出されます。小笠原の中でも限られた場所でしか報告がなく、今回はこの貝を採りに行ったと言っても過言ではありませんでした。同行者の協力もあり、何とか得ることができました。今後の観察と研究が楽しみです。(*本種の採集は、東京都と環境省の許可を得て行っています)

バクダンウニトゲヤドリニナに寄生された棘。矢印の先に細長い穴が開く。

棘の中に巻貝が棲む。丸いものは貝の卵塊。

余談ですが、島のいたるところに、外来種のグリーンアノールというトカゲの仲間や野猫を捕獲する罠が設置されていました。父島は小笠原の玄関口なので、外来種対策は大変だと思います。在来の生物を守るための努力を実感しました。【高野】

グリーンアノール捕獲用の罠


2021年11月18日

小笠原で寄生貝調査(前編):母島

 11月5日から16日まで、小笠原諸島で寄生貝の調査を行いました。といっても、船で24時間かかるので初日と最終日は船中泊です。実際に調査を行ったのは10日間でした。

おがさわら丸乗船

ははじま丸

 父島到着後、まず母島へ向かいました。乗り継ぎをしてもう2時間の船旅です。3日間滞在しましたが、雨風が強く、思うようにいかない日もありました。それでも、主に刺胞動物に寄生する貝類が多数採集できました。
 写真はスナギンチャク類に寄生するサンゴヤドリガイとクルマガイの仲間です。この2つの貝同士は近い仲間ではありませんが、同じ種類のスナギンチャクに寄生しているのが見つかりました。

カゴメサンゴヤドリ(矢印)

ヒクナワメグルマ(矢印)

母島は山・海とも自然豊かな場所ですが、太平洋戦争の遺構も多く遺されており、歴史を感じることもできる島でした。【高野】

砲台跡地

2021年11月12日

東大医科研マラリア免疫学分野の皆さんが来館されました

 11月10日、東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 マラリア免疫学分野のジェヴァイア・チョバン教授、ミシェル・スー・ジャン・リー助教ほか大学院生の皆さんが来館されました。世界三大感染症の一つであるマラリアから人々を守り、根絶に向けて免疫学の研究を行い、治療薬やワクチンの開発を目指す皆さんです。チョバン先生の研究室はたいへん国際色豊かで、ほとんどが海外からの留学生さんですが、スマートフォンでQRコードをスキャンすれば多国語の解説を読むことができます。標本と展示解説を楽しんでいただきました。私も大学院生の時には医科研に通っていたので、たいへん懐かしく思いました。【倉持】

東京大学医科学研究所マラリア免疫学分野 | Welcome to Malaria Immunology Laboratory