2018年8月31日

韓国大邱(テグ)の世界寄生虫会議で発表しました


 8月19日から24日に大邱で行われた第14回世界寄生虫会議で、クロマグロに寄生する住血吸虫カルジコラ オリエンタリスの中間宿主内の発育について発表しました。この寄生虫は中間宿主であるフタエラフサゴカイ(多毛類に属す環形動物の一種)の体腔内で増殖して、大量のスポロシスト幼生になります(写真右はスポロシストで充満したゴカイの断面像)。スポロシストの内部はマグロへの感染ステージであるセルカリアで充満しています。寄生虫に栄養を奪われたゴカイは成熟できなくなります(寄生去勢といいます)。
 日本の養殖クロマグロには心臓やエラの血管に寄生する住血吸虫が3種知られています。どの種も虫卵がマグロのエラの毛細血管を詰まらせ、マグロを殺すこともある有害寄生虫です。現在、近畿大学と共同で被害軽減のための対策研究をしています。 【小川】

2018年8月30日

茨城での陸貝採集

8月21日に陸貝採集のため茨城まで行ってきました。寄生虫の実験に使うナミコギセルを採集するのが主な目的です。ナミコギセルはゴミ・野菜捨て場に大量にいたので、充分すぎるほどの数を確保できました。この陸貝は植物質のものを食べるので、捨てられた野菜を食べて増えたのかもしれません。今回の実験結果の一部を今年の学会で発表するのが、現在の私の目標です。【脇】

2018年8月27日

日本海裂頭条虫の標本・パネルの学名表示を変更しました


 日本海裂頭条虫(Diphyllobothrium nihonkaiense)は「人体に寄生するサナダムシの一種」として有名ですが、昨年(2017年)、学名を Dibothriocephalus nihonkaiensis に変えるべきという研究成果が発表されました。寄生虫の学名はどこかの機関が決めるものではなく、研究者の間で分類が正しいと信じられれば徐々に定着するものですが、今回はこの条虫の研究分野ではトップと言える研究グループの発表なので、今後はこの学名が広まると考えられます。
 そのため8月12日に、館内数か所にある日本海裂頭条虫の標本やパネルの学名表示を変更しました。さらに最近の知見を反映して、この条虫の生活環の図と説明を一部修正しています。 【巖城】

2018年8月23日

栃木での陸貝寄生虫調査

9日から10日にかけて、栃木で陸貝を採集してきました。予想通り、関東で普通な陸貝であるヒカリギセルやヒダリマキマイマイが採れました。丸太をひっくり返した裏に陸貝が付いていましたが、生息密度は低めでした。北関東では陸貝の個体数密度が低い印象があり、南関東に比べて採るのが難しい気がしています。
採集してきた陸貝とその寄生虫データは、今後の学会や学術誌で公開していく予定です。【脇】

2018年8月8日

白陵高校の神尾祐輔先生と生物部の生徒4名、神戸大理学部の新田理人さんが来館


 8月2日・3日に、兵庫県の白陵高校の神尾祐輔先生と生物部の生徒4名、神戸大理学部の新田理人さんが来館しました。メバルに寄生する単生類を研究している生徒さんは、山口左仲博士が60年以上前に新種記載した標本を観察し、熱心にメモを取ったり写真撮影したりしていました。一方、淡水魚・巻貝の寄生吸虫の生活環解明がテーマの生徒さん達は、研究員とディスカッションしながら、所蔵資料を楽しそうに調べていました。その合間を縫って、新田さんも山口標本コレクションの単生類標本を精力的に鏡検していました。
 翌日は、訪れた東京大学博物館でさらに素晴らしい発見があったそうですが、それについては生物部のfacebookをご覧ください。 【巖城】

白陵生物部
https://ja-jp.facebook.com/HakuryoBiology

2018年8月5日

ミニ解説会「緊急開催:カタツムリの寄生虫-生きたロイコクロリジウム」を開催しました

8月4日に、カタツムリの寄生虫ロイコクロリジウムのミニ解説会を開催しました。この会では、ロイコクロリジウムの種類や虫体の中身などについての解説の後、オカモノアラガイの触角の中で活発に動いている幼虫を実際に見ていただきました。午前・午後合わせて約130名の皆様にお集まりいただきました。
次回は9月の予定です。日時・内容は当館ウェブサイトでお知らせいたします。
なお、現在、私を含めた研究グループはロイコクロリジウムを探しています。野外で目撃された方はお知らせいただけますと幸いです。【脇】

2018年8月2日

弘前大学の小林一也先生・関井清乃さんと、旭川医科大学の佐々木瑞希先生が来館

7月29日に、弘前大学農学生命科学部の小林一也先生と関井清乃さんが研究打合せのため来館され、研究テーマの「プラナリアの生殖戦略」についてレクチャーをしていただきました。たまたま、小林先生たちとも共同研究されている旭川医科大学寄生虫学講座の佐々木瑞希先生と学生さん1名も来館され、一緒にレクチャーを聴講しました。
 小林先生・関井先生の研究については、下記の本で読むことが出来ます。

 『プラナリアたちの巧みな生殖戦略』
 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5125-0.htm
 
 また、佐々木先生と当館の脇研究員の共同研究については下記の記事をご覧ください。

 『旭川市に生息するカタツムリから新種の吸虫を発見! – 身近な環境に隠された生物多様性』
 https://academist-cf.com/journal/?p=7791

 佐々木先生にお持ちいただいたロイコクロリジウム(吸虫類の一種)の幼虫は、今週8月4日のミニ解説会で、脇研究員が来館者の皆さんにお見せする予定です。 【巖城】

2018年8月1日

イギリス ケンブリッジ大学の学生Aurélien Guéroult氏が来館


 7月25〜29日に、イギリスのケンブリッジ大学(the University of Cambridge)医学部5年生のAurélien Guéroult氏(通称Rayさん)が、寄生虫学研修のため来館しました。当館ではカツオから寄生虫を採集し、アニサキス幼虫の計測と顕微鏡写真の撮影や、テンタクラリア幼虫の標本作製や描画装置を使ってのスケッチなどを実地に体験しました。 【巖城】