2021年6月2日

芽殖孤虫のゲノム研究が論文になりました

 この研究は、私(倉持)が前職(国立科学博物館)中に宮崎大学、東京慈恵会医科大学ほかとの共同で行ったもので、国際学術誌Communications Biologyオンライン版で公開されました。芽殖孤虫とはヒトに芽殖孤虫症を引き起こす珍しいサナダムシの仲間です。世界での症例数はわずか18例、そのほとんどが死亡例で、特に奇妙なのは成虫が見つかっていないこと、幼虫が無秩序な出芽によって増えること、寄生は皮下をはじめ全身におよぶこと、さらに日本での症例がやや多いことです。研究には、1981年にベネズエラの症例から得られた虫を、マウスの腹腔内で生きたまま維持したものを用い、次世代シーケンサーと最先端のバイオインフォーマティックスを駆使しました。

詳しい内容はこちら
https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/634985.pdf

論文へのアクセスはこちら
https://www.nature.com/articles/s42003-021-02160-8

 芽殖孤虫は目黒寄生虫館で見られます。国立科学博物館の特別展「大地のハンター展」(6月13日まで。要予約)でも展示しています。【倉持】

芽殖孤虫:目黒寄生虫館の展示標本

芽殖孤虫:目黒寄生虫館の展示標本