2026年9月5日

山口左仲博士の論文原図展示を更新しました

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 2階展示室の「山口左仲博士が論文に使った原図」展示が9月2日から新しくなりました。
 魚類および鳥類に寄生する吸虫類に関する論文3編(1934年・1935年)の図版から選びました。中央アクリルケースには、京都の、今はもう無い巨椋池(おぐらいけ)のクイナの小腸から、山口博士が約90年前に採集した吸虫類 Echinostoma ralli のプレパラート標本を展示しました。その掲載論文別刷のコピーも展示しているので、合わせてご覧ください。
 今回の展示は、8月26日から30日に行われた博物館実習の一環として、実習生が選んだ図版をパネルにレイアウトし、展示室に設置したものです。実習生の皆さん、お疲れさまでした。【巖城】

2026年8月21日

「マリンチャレンジプログラム2026関東大会」で審査員を務めました

 このプログラムは、海洋・水環境分野の研究に挑戦する10代の次世代研究者を応援するもので、(公財)日本財団の協力のもと(一社)日本先端科学技術教育人材研究開発機構と(株)リバネスが主催します。その関東大会が8月1日に行われ、私(倉持)は審査員として参加しました。関東各地から中高生10チームが参加。4月から4ヶ月間の研究経過を発表し競いました。審査の結果高得点を獲得した4チームが、来年2月に全国5ブロックが集結して開催される全国大会に参加することになります。審査して感じたことは、研究テーマが生物学、環境学、工学、展示学など多様なため、解りやすい発表をすることの重要性でした。これは博物館で働く私たちにとっても最も大事なことで、解りやすさについて改めて考える1日になりました。【倉持】

2026年8月15日

フード連合 食の安全・安心セミナーで講演しました

 フード連合とは、食品関連産業約300の会社で働く12万人の方々が集う労働組合です。毎年6月・7月を「食の安全・安心 強化月間」と定め様々な啓発活動を行っています。本セミナーはその一環として、強化月間最終日の7月31日のお昼時にオンラインで実施されました。私(倉持)がいただいたテーマは、「職場と家庭で活かす寄生虫食中毒の基礎知識」で、アニサキス、ナナホシクドア、フェイヤー肉胞子虫に加えて、ジビエ料理で心配される寄生虫の話をしました。職場で働く方々はお昼休みに、ご家庭にいらっしゃる方々はお茶の間で、お気軽に聞いていただけるようなセミナーを目指しました。【倉持】
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2026年8月14日

感染症危機管理リーダーシップ研修で講演しました

 この研修は、厚生労働省の委託を受けた国立健康危機管理研究機構が行うもので、各地方自治体が平時から感染症の発生の予防・まん延防止に備え、有事には迅速に感染症危機に対応できるリーダーを育てることを目指します。研修を受けるのは、各地の保健所の方々をはじめとした自治体の職員さんたち。去る7月30日、私(倉持)は講師にお招きをいただき「日本住血吸虫症の生物学的特性とまん延・終息の歴史的俯瞰(ふかん)」について講演しました。
 講演のあとは、元山梨県衛生公害研究所(現在の衛生環境研究所)の梶原徳昭先生、薬袋(みない)勝先生を交えてのパネルディスカッションでした。お二人とも日本住血吸虫症の制圧・対策に最前線で取り組まれた大先輩です。当時を知る方々の「生の声」をたっぷりと伺うことができました。【倉持】


2026年8月13日

夏休み博物館体験!~みんなが知らないディープな博物館を見せます!~

 「こども霞が関見学デー」は、文部科学省をはじめとした各府省庁等がそれぞれ工夫を凝らしたブースを用意し、子どもたちが夏休みに広く社会を知る体験の機会を提供し、親子の触れ合いを深めるために例年開催されます。今年は去る7月29・30日に実施され、当館は4年連続の出展となりました。文化庁の博物館ブースには他に、JICA横浜海外移住資料館、新宿歴史博物館、泉屋博古館(せんおくはくこかん)・泉屋博古館東京、パナソニック汐留美術館、松岡美術館、横浜市電保存館が出展。標記の通りディープな博物館が出揃いました。両日共に3,000人以上の方々(保護者を含む)にご来場いただいたとのことでした。【倉持】

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2026年8月11日

「教員のための博物館の日2026」in 目黒寄生虫館

 このイベントは、学校の先生方に博物館に親しんでいただき、日頃の教育活動に博物館を利用していただくために国立科学博物館が2008年に開始し、現在では全国に広がって今年は89の博物館等が参加しています。当館では7月27日月曜日の休館日に実施しました。今年は東京都教育庁に先生方へのお声かけをお願いしたためか、東京都からのご参加を多くいただきましたが、一方、北海道や愛知県といった遠方からご参加になる先生もいらっしゃいました。「貴重な体験ができた」と例年ご好評をいただいておりますが、その体験がどのように生かされて生徒さんたちに届くか、できるものなら覗いてみたいところです。【倉持】
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2026年7月30日

蒲郡発、特別展・企画展の開幕と講演会のご報告

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 去る7月18日、蒲郡市生命(いのち)の海科学館との共催による特別展「あっちにもこっちにも!寄生虫の世界」と企画展「もっと深掘り!寄生虫は十人十色!?」が開幕しました(7月17日付けのブログもご参照ください)。この展示では、鯨類・魚類、各種無脊椎動物に寄生する寄生虫のほか、寄生バチや冬虫夏草も展示するなど、目黒寄生虫館とはまたひと味ちがう魅力があります。お近くの方はもちろん、遠方の方も是非お運び下さい。
 開幕に合わせて、私(倉持)は講演しました。タイトルは「海のこと、もっと知ろうよ!!」夏休みを迎えるお子さん向けの講演のつもりでしたが、ほとんどが大人の方でした。それでもたくさんのご質問をいただき、私自身も楽しい講演になりました。【倉持】

2026年7月17日

蒲郡市生命の海科学館で特別展の設営


  蒲郡市生命の海科学館(愛知県蒲郡市)では、明日7月18日より特別展「あっちにもこっちにも!寄生虫のせかい」が当館と共催で開催されます。7月14日、倉持と私(高野)で、本特別展と、同時に開催される企画展「もっと深堀り!寄生虫は十人十色!?」の設営のため、科学館を訪れました。前日に搬出した標本を運び入れ、開梱の後展示用にガラス瓶に移し、所定の場所に設置します。8時間ほどで作業は無事に終了しました。
 私にとって、これほど大きな規模の展示の計画・設営は初めてで、大変勉強になりました。特別展は11月29日まで開催されます。たくさんの寄生虫標本が展示されていますので、ぜひご覧ください。【高野】

期間:2026年7月18日(土)~11月29日(日)
開館時間:午前9時~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日:毎週火曜日(夏休み期間は開館)

本展示は、船の科学館「海の学びミュージアムサポート」の助成を受け開催されています。

2026年7月9日

西日本カエル採集

  現在、カエルに寄生するとある線虫を日本各地から集めています。この線虫は、1種が日本中に広く分布すると長い間考えられてきました。しかし、いくつかの研究で、遺伝的、形態的な多様性が高いことが報告されており、実は複数の種に分けられるのではないかと疑われています。私は、この線虫の種分類と遺伝的な多様性ができあがった過程に興味を持ち研究をしています。このような研究では、多くの地点からサンプルを集め、遺伝子や形態を比較する必要があるのです。

 この研究の一環で、6月19~26日にかけて、広島県、山口県、福岡県、佐賀県でカエル採集を行いました。採集中は日焼けするような晴れの日があった一方で、ずぶぬれになるような雨の日もあり、なかなか大変でした。主に水田やレンコン畑でカエルを探しました。中国地方では田植えは終わり、稲が成長していましたが、九州では田植えの最中でした。山口県では稲作からレンコン栽培への転換が進んでいるようでした。全国を旅しているとこのような、地域の特徴を肌で感じることができます。採集の方はヌマガエル、トノサマガエル、ツチガエル、ニホンアカガエルを捕まえました。採集したカエルを館に持ち帰り解剖したところ、山口県と佐賀県産のカエルから目的の線虫を得ることができました。【佐田】


ヌマガエルの卵塊 佐賀県












レンコン畑 山口県


2026年6月30日

山梨県立博物館で講演しました

 山梨県立博物館(笛吹市)では、シンボル展「『もう大丈夫!』から30年–地方病の時代をふりかえる–」を開催しました(6月29日まで)。山梨県下に地方病(日本住血吸虫症)の「流行終息宣言」が発せられて30年を記念したこの展示ですが、関連の講演会に私(倉持)がお招きをいただき、6月21日に「地方病に挑んだ人々」と題して講演しました。小学生からお年寄りまで、約60名の方々にお集まりいただき90分ほどお話ししました。ご質問もたくさんいただきましたが、「もう大丈夫」と言ってしまって良いのかという慎重論も聞かれ、この地にすむ方々の複雑な気持ちが覗われました。【倉持】

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2026年6月28日

めぐろキッズレポーターの取材を受けました

 本企画は、目黒区子ども若者課が実施する「子どもワークショップ」のひとつで、子どもたちが見て、聞いて、感じたことを自分の言葉で発信すること、取材先は子どもたちが決めること、取材の結果を記事にして目黒区のホームページに掲載することを目指します。去る6月13日、目黒区内の小学校4年生と5年生合わせて13人のレポーターがやって来ました。約30分の館内見学の後、私(倉持)がインタビューに臨みました。「目黒寄生虫館ができたワケ」「最大の寄生虫と最小の寄生虫は?」などなど、全員が質問に立ちました。どの子もハキハキとして、たいへん気持ちの良いひとときでした。【倉持】
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2026年6月12日

富士市カエル採集

  6月6日に静岡県富士市の浮島地区へ出かけ、カエル採集を行いました。水の張った水田周辺でヌマガエル6匹とヒガシニホンアマガエル2匹を捕まえました。後日、採集したカエルを館で解剖したところ、目的の線虫1種の他に、吸虫1種と鉤頭虫の幼虫1種がとれました。ボウズでなくて一安心でした。

 浮島地区はかつて、日本住血吸虫症流行地の一つでした。しかし、現在では中間宿主のミヤイリガイの生息地は消滅し、病気の流行は終息しています。【佐田】

水田の様子。

ヌマガエル


沼。現在は整備されて市民の憩いの場になっている。

2026年5月31日

兵庫県立大学 環境人間研究科の明尾亮佑さんが来館されました

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 5月27〜29日に兵庫県立大学 環境人間研究科・博士後期課程の明尾亮佑さんが、大野善右衛門博士標本コレクション(2025年7月2日の記事参照)の観察と、貸出標本の返却のため来館されました。昨年6月以来、2回目の来館です。
 今回は大野コレクションを全般的に調べて、未観察のコウモリ類のノミのほか、未発表のウサギ類のノミの標本などが見つかりました。私(巖城)が個人的にお世話になった研究者の標本もあり、その先生を思い出して大変懐かしくなりました。
 タイプ標本も新たに発見されたので、当館の「所蔵タイプ標本一覧」に掲載する予定です。これらの標本が広く活用されることを願っています。 【巖城】

2026年5月28日

「国際生物多様性の日」ミニ解説会


 5月22日は「国際生物多様性の日」で、毎年世界各地で関連したイベントが開催されます。当館では、直近の土曜日・日曜日にあたる23日・24日に、現在開催中の特別展「寄生・共生関係 太古の海と今の海」の解説会を行いました。各日の午前と午後に開催し、計4回で120人以上の方々にお越しいただきました。解説会後は質問も多くいただき、興味を持っていただけて嬉しい限りです。特別展は7月5日まで開催中です。ぜひお越しください!【高野】

2026年5月23日

5月17日、ジャニン・カイラ博士ご一行が来館されました

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 カイラ博士は、米国コネチカット州立自然史博物館の館長・特別栄誉教授を務め、エイ・サメ類寄生の条虫類を研究する世界的権威です。そのカイラ博士が、妹さん、甥御さん、姪御さんらとともに18日間の日本紀行を楽しまれ、最後の訪問地に当館を選んで下さいました。展示室を見学されたあとは収蔵庫をご覧頂き、当館研究職員と懇談。それぞれ研究のトピックを披露して意見交換しました。山口左仲博士の原図「魚類の条虫類」をご覧いただきたいへん喜んでいただきました。
 私(倉持)が博士にお目にかかるのは1999年以来2度目で、その時私は当時の築地市場をご案内しました。魚の種類が多い、臭わない、ハエがいないなど、あの時と全く同じ感想を述べていらっしゃいました。【倉持】

2026年5月21日

つくばでのワークショップに参加

 5月12~14日にかけて、(公財)長尾自然環境財団による活動「マレーシアにおける海生無脊椎動物の生物多様性」(代表:国立科学博物館 藤田敏彦博士)に係るワークショップが開催されました。マレーシアの共同研究者をお招きし、プロジェクトの進捗、各自のゴール、共同研究の可能性などを話し合いました。また、国立科学博物館の収蔵庫や実験室などを見学し、実験の進め方やサンプルの保管方法などを共有しました。
 最終日の14日は、国立科学博物館の上野本館、長尾自然環境財団を訪問の後、当館も見学していただきました。マレーシアでは肉や魚の生食文化がないため、ヒトの寄生虫症で問題となるのは昆虫媒介性のものが大半だそうです。研究や寄生虫事情など、盛りだくさんな3日間でした。【高野】

2026年5月14日

オーストラリアからお客様

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 少し前のことになりますが4月30日、クイーンズランドにあるバーゴファー医学研究所のキャサリン・ゴードン博士が来館されました。ゴードン博士は熱帯分子寄生虫学研究室で主席研究員を務め、オーストラリア国内では糞線虫、ラオス、カンボジア、フィリピンでは住血吸虫の制圧に向けた対策に取り組んでいらっしゃいます。そこで、日本住血吸虫症予防のためにこども向けに作られた小冊子「俺(わし)は地方病博士だ」(山梨地方病研究部,1917年)をご覧に入れたところ、カンボジアの子供たちに見せているメコン住血吸虫予防のアニメーションを見せてくれました。【倉持】

2026年5月1日

諏訪市でのカエル採集

 

 425日に寄生虫調査用のカエル採集のために、長野県諏訪市へ出かけました。当日は穏やかで気持ちの良い晴れでした。

 調査を行った水田では所々でカエルが鳴いていましたが、なかなか姿を確認できませんでした。それでも、なんとかヒガシニホンアマガエルを2匹捕まえました。

 採集したカエルは後日館で解剖しましたが、残念ながら寄生虫は全く取れませんでした。気を落とさずに採集を続けていきたいと思います。【佐田】

諏訪湖


水田の様子。矢印のところに猫がいる。

2026年4月23日

日本貝類学会令和8年度大会に参加

 4月18~19日、和歌山県白浜町で開催された日本貝類学会令和8年度大会に参加しました。私(髙野)は「ウツブシシタダミ属Moerchia(トウガタガイ科)の系統的位置」という題で口頭発表したほか、共同研究者と今後の打ち合わせを行いました。前日17日は編集会議と評議員会に参加、大会後の20日は京都大学の瀬戸臨海実験所周辺で調査を行い、寄生性の巻貝類を採集しました。【高野】

2026年4月16日

マレーシアでドレッジ調査


 4月5~10日にかけて、マレーシアのランカウイ島でドレッジ調査を行いました。本調査は(公財)長尾自然環境財団による活動「マレーシアにおける海生無脊椎動物の生物多様性」(代表:国立科学博物館 藤田敏彦博士)の一環です。
 現地で船をチャーターし、島の北部と南部の計15地点で調査を行い、参加者が研究対象とする棘皮動物・軟体動物・貝形虫を中心に採集しました。また出港前などに、船着き場近くのマングローブ環境でも生物調査を実施しました。ホテルに戻ってからは、各々が専門とする生物について生体の写真を撮影し、標本を作製しました。
 調査地は細かな泥底で、生物がほとんど見られない地点もありました。それでも、私(高野)が研究している寄生性巻貝類をはじめ、様々な巻貝・二枚貝・ツノガイを得ることができました。日本には分布していないと思われるものも多く含まれます。マレーシアでの生物調査は今後も続きます。どのようなものに出会えるのか、最終的にどのような生物相が明らかとなるのか、とても楽しみです。【高野】

2026年4月1日

農林水産省と「食品安全シンポジウム」を共催しました

 「見えない敵と加熱/冷凍の科学〜寄生虫・カンピロバクターから身を守る〜」と題したこのシンポジウムは、3月19日に東京新宿区のコモレ四谷タワーで開催されました。寄生虫や細菌類をよく理解することで、食中毒を未然に防ごうというのが趣旨です。第1部では、麻布大学獣医学部の森田教授が鶏肉の生食が原因で起こるカンピロバクター食中毒について、立命館大学食マネジメント学部の和田教授が心理学の立場から食の安全と安心について、私(倉持)はアニサキスやクドアなど寄生虫についてそれぞれ講演し、第2部は消費科学センターの井岡理事を交えてのパネルディスカッションでした。食品業界、食品衛生にかかわる各種団体、行政などの方々に一般の方々、合わせて70名近くお集まりいただき、加えてオンライン参加の方々。食中毒問題が深刻で、皆さんのご心配が覗われました。正しい知識で正しく予防。これは当館設立の趣旨の一つでもあり、改めて皆さんに伝えられて良かったです。【倉持】

2026年3月29日

山梨県でミヤイリガイ採集


  ミヤイリガイは日本住血吸虫の中間宿主となる巻貝で、研究室内でこの虫の継代・感染実験を行っている研究グループは、定期的にサンプリングを行っています。寄生虫学会大会終了後に直接山梨県へ向かい、翌日の調査に同行しました。
 私(高野)はミヤイリガイの遺伝学的研究を進めています。そのために昨年もいくつか採集したのですが、今回は少し離れた、「分布している」という情報だけいただいた地点も訪れました。最近は雨が少なく生息地はカラカラに乾いていましたが、貝は逞しく生きていました。しっかり採集することができ、実りのある調査となりました。今後の実験・解析が楽しみです。【高野】

2026年3月28日

第95回日本寄生虫学会大会に参加しました

 今年の大会は3月21・22日に神奈川県相模原市の北里大学で開かれました。前日の20日には恒例のサテライトミーティング、生態学・疫学談話会がありました。巖城研究室長をはじめ、髙野・佐田両研究員、私(倉持)は全日程に参加し、髙野さんはギンザメの寄生虫について「遺伝子情報から探る日本近海産ギロコチレ属条虫の多様性」を発表、私は座長を務めました。寄生虫学といっても、私たちのような寄生虫の自然史研究から、例えば寄生虫のワクチン開発まで研究分野は多様です。学会は、ほかの分野の研究者の成果を聞き、交流するだいじな場です。また、2026年3月26日のブログ記事にあるように、学会に合わせてご来館になる方もいらっしゃいます。
 本大会ではもう一つ話題がありました。当財団で評議員を務める狩野繁之博士(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療研究所)が、桂田賞を受賞されました。桂田賞は昭和23(1948)年から続く伝統ある栄誉の高い賞で、寄生虫学振興に寄与し集大成された研究業績を顕彰するものです。基礎研究から流行地の現地対策まで、狩野博士による一貫したマラリア研究が高く評価されての受賞です。狩野先生、おめでとうございます。【倉持】

2026年3月27日

講演会「地球環境史学」の講師を務めました

 1ヶ月以上前のことですが、去る2月15日、私(倉持)は静岡県の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」よりご招待いただき講演しました。これは同館が行うオムニバス授業「地球環境史学」のひとつで、私は「史料で辿(たど)る日本住血吸虫症制圧の物語」という題目で1時間半ほどお話ししました。なぜ日本住血吸虫症かというと、静岡県にもかつては小さな流行地があったためです。本症の大流行地だった山梨県甲府盆地(2026年2月19日のブログ記事参照)を流れる笛吹川と釜無川は、合流して富士川となって静岡県を流れます。つまり名前はちがっても同じ川が流れているわけで、富士川沿いにも流行地があってもおかしくありません。ところが現在までのところ、その証拠も資料も見つかっていません。【倉持】

2026年3月26日

北海道大学大学院理学院の北悠樹さんが来館されました

 3月19日に北海道大学大学院理学院 博士課程の北悠樹さんが所蔵標本の観察のため来館されました。3月21〜22日に開催された日本寄生虫学会大会(北里大学 相模原キャンパス)に合わせてのご来館です。標本観察後には当館の佐田研究員が採集した両生類の鉤頭虫について相談しました。また、3代目館長だった内田明彦先生がまとめた両生類の寄生虫の総説を当館から差し上げました。北さんはこの春で博士課程を修了し、博士号を取得されたそうです。おめでとうございます。【巖城】

2026年3月1日

大阪湾での潜水調査に同行


 2月25日に、大阪湾で実施された潜水調査に同行しました。瀬戸内海でしか見つかっていない寄生巻貝が狙いでしたが、あいにく宿主のウニが少なく、貝は得られませんでした。時期を変えて再チャレンジしたいと思います。
 調査をされている学芸員の方がいらっしゃる、きしわだ自然資料館にもお邪魔しました。じゃこに混ざっている他の生物を探す「ちりめんモンスター」発祥の博物館です。館内は岸和田の自然のほか、立派な剥製もたくさん展示してあり見ごたえ十分です。【高野】

2026年2月23日

全科協の総会で研修報告


 2月17日、全国科学博物館協議会(全科協)の総会が国立科学博物館(茨城県つくば市)で行われました。ハイブリッド開催で、現地には全国の科学博物館関係者107名が集い、当館からは館長の倉持と私(髙野)が参加しました。私は、1月に参加した海外科学系博物館視察研修(韓国、https://kiseichukan.blogspot.com/2026/01/blog-post.html)について報告しました。20分という限られた時間でしたが、訪問した6館についてご紹介しました。【髙野】

2026年2月20日

練馬区立リサイクルセンターで講演

 2月16日に練馬区立春日町リサイクルセンター(東京都)の研修会で、『寄生虫から学ぶ生物多様性』という題で講演しました。参加者はセンターで活動されているボランティアや職員の15名ほどで、60〜70歳代が多く、目黒寄生虫館の名前は知っているが訪れたことはないという方が大半でした。ふだんは環境保全や地球温暖化について学んでいるそうなので、私からは、温暖化によりマラリアは日本で再流行するか?、ハリガネムシと森の生態系の関わりは?など、最近の研究の知見を紹介しながらお話ししました。アニサキス幼虫やサンマの鉤頭虫など身近な魚の寄生虫の標本も持参し、手に取って見ていただきました。【巖城】

2026年2月19日

全国市場食品衛生検査所協議会関東ブロック協議会の皆さんがご来館になりました

 2月12日にご来館になった皆さんは、全国の市場にある食品衛生検査所で働く方々のうち、横浜市の中央卸売市場に事務局を置く関東ブロック協議会の19名様でした。展示見学の前に1時間ほど、アニサキス、クドア、サルコシスティスなどの寄生虫による食中毒についてレクチャーしました。これらの寄生虫は、2012(平成24)年の食品衛生法施行規則の一部改正で、新たに食中毒の原因微生物として追加されました。そのため2013年以降、それまで「その他の食中毒」としてまとめられていたものが、各寄生虫ごとの件数・患者数が公表されるようになりました。2013年を境に食中毒の報告数がどのように変化したか、などについてお話しし、大変熱心に聞いていただきました。【倉持】

シンポジウム「地方病との闘い」で講演しました

 去る2月7日、山梨県の主催でシンポジウム「地方病との闘い」が開催されました(やまなしプラザ)。これは、甲府盆地にかつて流行していた地方病(日本住血吸虫症)の流行終息宣言30周年を記念して開かれたもので、私は山梨県から招かれ「山梨県における地方病制圧史」について講演するとともに、パネルディスカッションに参加しました。当日は天気が悪いなか150名近い方々にお集まりいただきました。講演では、本症制圧に尽力された地元のお医者様たちの活躍を中心に制圧への道のりを辿りました。パネルディスカッションは、山梨県衛生公害研究所(現在の衛生環境研究所)で活躍された薬袋(みない)勝先生ほか4名で行いました。薬袋先生からまだ本症が流行していた頃のお話しを伺ったり、会場からご質問をいただいたり充実した時間を過ごしました。特に本症制圧に際して行われた、薬を撒いたり水路をコンクリート化したりといった環境問題にご質問が集中し、皆さんの環境意識の高さが覗われました。【倉持】