2026年4月23日

日本貝類学会令和8年度大会に参加

 4月18~19日、和歌山県白浜町で開催された日本貝類学会令和8年度大会に参加しました。私(髙野)は「ウツブシシタダミ属Moerchia(トウガタガイ科)の系統的位置」という題で口頭発表したほか、共同研究者と今後の打ち合わせを行いました。前日17日は編集会議と評議員会に参加、大会後の20日は京都大学の瀬戸臨海実験所周辺で調査を行い、寄生性の巻貝類を採集しました。【高野】

2026年4月16日

マレーシアでドレッジ調査


 4月5~10日にかけて、マレーシアのランカウイ島でドレッジ調査を行いました。本調査は(公財)長尾自然環境財団による活動「マレーシアにおける海生無脊椎動物の生物多様性」(代表:国立科学博物館 藤田敏彦博士)の一環です。
 現地で船をチャーターし、島の北部と南部の計15地点で調査を行い、参加者が研究対象とする棘皮動物・軟体動物・貝形虫を中心に採集しました。また出港前などに、船着き場近くのマングローブ環境でも生物調査を実施しました。ホテルに戻ってからは、各々が専門とする生物について生体の写真を撮影し、標本を作製しました。
 調査地は細かな泥底で、生物がほとんど見られない地点もありました。それでも、私(高野)が研究している寄生性巻貝類をはじめ、様々な巻貝・二枚貝・ツノガイを得ることができました。日本には分布していないと思われるものも多く含まれます。マレーシアでの生物調査は今後も続きます。どのようなものに出会えるのか、最終的にどのような生物相が明らかとなるのか、とても楽しみです。【高野】

2026年4月1日

農林水産省と「食品安全シンポジウム」を共催しました

 「見えない敵と加熱/冷凍の科学〜寄生虫・カンピロバクターから身を守る〜」と題したこのシンポジウムは、3月19日に東京新宿区のコモレ四谷タワーで開催されました。寄生虫や細菌類をよく理解することで、食中毒を未然に防ごうというのが趣旨です。第1部では、麻布大学獣医学部の森田教授が鶏肉の生食が原因で起こるカンピロバクター食中毒について、立命館大学食マネジメント学部の和田教授が心理学の立場から食の安全と安心について、私(倉持)はアニサキスやクドアなど寄生虫についてそれぞれ講演し、第2部は消費科学センターの井岡理事を交えてのパネルディスカッションでした。食品業界、食品衛生にかかわる各種団体、行政などの方々に一般の方々、合わせて70名近くお集まりいただき、加えてオンライン参加の方々。食中毒問題が深刻で、皆さんのご心配が覗われました。正しい知識で正しく予防。これは当館設立の趣旨の一つでもあり、改めて皆さんに伝えられて良かったです。【倉持】

2026年3月29日

山梨県でミヤイリガイ採集


  ミヤイリガイは日本住血吸虫の中間宿主となる巻貝で、研究室内でこの虫の継代・感染実験を行っている研究グループは、定期的にサンプリングを行っています。寄生虫学会大会終了後に直接山梨県へ向かい、翌日の調査に同行しました。
 私(高野)はミヤイリガイの遺伝学的研究を進めています。そのために昨年もいくつか採集したのですが、今回は少し離れた、「分布している」という情報だけいただいた地点も訪れました。最近は雨が少なく生息地はカラカラに乾いていましたが、貝は逞しく生きていました。しっかり採集することができ、実りのある調査となりました。今後の実験・解析が楽しみです。【高野】

2026年3月28日

第95回日本寄生虫学会大会に参加しました

 今年の大会は3月21・22日に神奈川県相模原市の北里大学で開かれました。前日の20日には恒例のサテライトミーティング、生態学・疫学談話会がありました。巖城研究室長をはじめ、髙野・佐田両研究員、私(倉持)は全日程に参加し、髙野さんはギンザメの寄生虫について「遺伝子情報から探る日本近海産ギロコチレ属条虫の多様性」を発表、私は座長を務めました。寄生虫学といっても、私たちのような寄生虫の自然史研究から、例えば寄生虫のワクチン開発まで研究分野は多様です。学会は、ほかの分野の研究者の成果を聞き、交流するだいじな場です。また、2026年3月26日のブログ記事にあるように、学会に合わせてご来館になる方もいらっしゃいます。
 本大会ではもう一つ話題がありました。当財団で評議員を務める狩野繁之博士(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療研究所)が、桂田賞を受賞されました。桂田賞は昭和23(1948)年から続く伝統ある栄誉の高い賞で、寄生虫学振興に寄与し集大成された研究業績を顕彰するものです。基礎研究から流行地の現地対策まで、狩野博士による一貫したマラリア研究が高く評価されての受賞です。狩野先生、おめでとうございます。【倉持】

2026年3月27日

講演会「地球環境史学」の講師を務めました

 1ヶ月以上前のことですが、去る2月15日、私(倉持)は静岡県の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」よりご招待いただき講演しました。これは同館が行うオムニバス授業「地球環境史学」のひとつで、私は「史料で辿(たど)る日本住血吸虫症制圧の物語」という題目で1時間半ほどお話ししました。なぜ日本住血吸虫症かというと、静岡県にもかつては小さな流行地があったためです。本症の大流行地だった山梨県甲府盆地(2026年2月19日のブログ記事参照)を流れる笛吹川と釜無川は、合流して富士川となって静岡県を流れます。つまり名前はちがっても同じ川が流れているわけで、富士川沿いにも流行地があってもおかしくありません。ところが現在までのところ、その証拠も資料も見つかっていません。【倉持】

2026年3月26日

北海道大学大学院理学院の北悠樹さんが来館されました

 3月19日に北海道大学大学院理学院 博士課程の北悠樹さんが所蔵標本の観察のため来館されました。3月21〜22日に開催された日本寄生虫学会大会(北里大学 相模原キャンパス)に合わせてのご来館です。標本観察後には当館の佐田研究員が採集した両生類の鉤頭虫について相談しました。また、3代目館長だった内田明彦先生がまとめた両生類の寄生虫の総説を当館から差し上げました。北さんはこの春で博士課程を修了し、博士号を取得されたそうです。おめでとうございます。【巖城】

2026年3月1日

大阪湾での潜水調査に同行


 2月25日に、大阪湾で実施された潜水調査に同行しました。瀬戸内海でしか見つかっていない寄生巻貝が狙いでしたが、あいにく宿主のウニが少なく、貝は得られませんでした。時期を変えて再チャレンジしたいと思います。
 調査をされている学芸員の方がいらっしゃる、きしわだ自然資料館にもお邪魔しました。じゃこに混ざっている他の生物を探す「ちりめんモンスター」発祥の博物館です。館内は岸和田の自然のほか、立派な剥製もたくさん展示してあり見ごたえ十分です。【高野】

2026年2月23日

全科協の総会で研修報告


 2月17日、全国科学博物館協議会(全科協)の総会が国立科学博物館(茨城県つくば市)で行われました。ハイブリッド開催で、現地には全国の科学博物館関係者107名が集い、当館からは館長の倉持と私(髙野)が参加しました。私は、1月に参加した海外科学系博物館視察研修(韓国、https://kiseichukan.blogspot.com/2026/01/blog-post.html)について報告しました。20分という限られた時間でしたが、訪問した6館についてご紹介しました。【髙野】

2026年2月20日

練馬区立リサイクルセンターで講演

 2月16日に練馬区立春日町リサイクルセンター(東京都)の研修会で、『寄生虫から学ぶ生物多様性』という題で講演しました。参加者はセンターで活動されているボランティアや職員の15名ほどで、60〜70歳代が多く、目黒寄生虫館の名前は知っているが訪れたことはないという方が大半でした。ふだんは環境保全や地球温暖化について学んでいるそうなので、私からは、温暖化によりマラリアは日本で再流行するか?、ハリガネムシと森の生態系の関わりは?など、最近の研究の知見を紹介しながらお話ししました。アニサキス幼虫やサンマの鉤頭虫など身近な魚の寄生虫の標本も持参し、手に取って見ていただきました。【巖城】

2026年2月19日

全国市場食品衛生検査所協議会関東ブロック協議会の皆さんがご来館になりました

 2月12日にご来館になった皆さんは、全国の市場にある食品衛生検査所で働く方々のうち、横浜市の中央卸売市場に事務局を置く関東ブロック協議会の19名様でした。展示見学の前に1時間ほど、アニサキス、クドア、サルコシスティスなどの寄生虫による食中毒についてレクチャーしました。これらの寄生虫は、2012(平成24)年の食品衛生法施行規則の一部改正で、新たに食中毒の原因微生物として追加されました。そのため2013年以降、それまで「その他の食中毒」としてまとめられていたものが、各寄生虫ごとの件数・患者数が公表されるようになりました。2013年を境に食中毒の報告数がどのように変化したか、などについてお話しし、大変熱心に聞いていただきました。【倉持】

シンポジウム「地方病との闘い」で講演しました

 去る2月7日、山梨県の主催でシンポジウム「地方病との闘い」が開催されました(やまなしプラザ)。これは、甲府盆地にかつて流行していた地方病(日本住血吸虫症)の流行終息宣言30周年を記念して開かれたもので、私は山梨県から招かれ「山梨県における地方病制圧史」について講演するとともに、パネルディスカッションに参加しました。当日は天気が悪いなか150名近い方々にお集まりいただきました。講演では、本症制圧に尽力された地元のお医者様たちの活躍を中心に制圧への道のりを辿りました。パネルディスカッションは、山梨県衛生公害研究所(現在の衛生環境研究所)で活躍された薬袋(みない)勝先生ほか4名で行いました。薬袋先生からまだ本症が流行していた頃のお話しを伺ったり、会場からご質問をいただいたり充実した時間を過ごしました。特に本症制圧に際して行われた、薬を撒いたり水路をコンクリート化したりといった環境問題にご質問が集中し、皆さんの環境意識の高さが覗われました。【倉持】

2026年2月8日

日本大学の松本淳教授ほか獣医学科 医動物学研究室の皆さんが来館されました

 2月6日に日本大学 生物資源科学部 獣医学科 医動物学研究室の松本 淳教授、増田 絢講師、研究室の皆さんとネパールからの研修生の計11名が見学のため来館されました。展示室をご案内した後、地下の標本庫・書庫などもご案内し、博物館では展示だけでなく研究も行なっていて、収集・保管している標本や資料は研究者に広く利用していただいていることもお話ししました。標本の作製法やシラミ類標本の所在などの質問があり、関心を持っていただけて嬉しく思いました。【巖城】

2026年2月6日

小児感染症ハイレベルセミナーで講師を務めました

 このセミナー(1月31日)は小児感染症学会が主催で、同学会の学会認定専門医(学会が認めた高度な知識と技術、経験をもつ医師、歯科医師)を目指す先生方の集まり。今年で第4回を迎えました。2例の症例検討会(過去の症例について、患者さんの背景、病状、治療、その結果等の報告を受けて意見交換するもの)のあと、寄生虫ワークショップを行いました。当館から液浸標本、寄生虫卵の拡大模型、プレパラートなどを持参して楽しく実習していただきました。先生方が顕微鏡を使う機会はほとんどないとのこと。それでもジアルジア、肺吸虫卵、日本海裂頭条虫など、次々に種類を言い当てる先生もいらして驚きました。ほぼ満足していただいたものと考えております。【倉持】

香港からの大学院生ご来館

 去る1月23・24日、香港嶺南大学歴史学部の傅嘉英(フー・ジャーイン)さんが資料調査のためにご来館になりました。フーさんのご専門は、東アジアの科学史、近代中国史、日中交流史で、今回の調査は、中国建国初期に日本の科学者・医学者が果たした役割、特に日本住血吸虫症対策への助言と貢献がテーマでした。この研究テーマには、当館が所蔵する資料は欠かせません。1956年に渡中した小宮義孝博士(国立予防衛生研究所寄生虫部長(当時)、現在の国立感染症研究所)と、翌年に第2次訪中医学使節団を率いた大鶴正満博士(琉球大学教授(当時))の論文や書籍、30点あまりを調査しました。わずか2日間の滞在でしたが、実りの多い調査だったにちがいありません。大満足でお帰りになりました。【倉持】

2026年1月22日

視察研修@韓国に参加

 1月13~19日にかけて、全国科学博物館協議会が主催する海外科学系博物館視察研修に参加し、韓国のソウル・木浦・光州で計8施設を訪れました。国立館はどれも巨大で、VRやプロジェクションマッピング、透過型タッチパネル、AIなど、最新のデジタル技術をふんだんに取り入れていました。魅力的ですが、国などによる相当な支援がないと導入は難しいだろうな、という印象を受けました。
 自主研修日には、韓国健康管理協会(Korea Association of Health Promotion, KAHP)が運営する寄生虫博物館を訪れました。標本がきれいに並べられており、寄生虫の多様性、韓国における寄生虫症の過去と現在、食品から感染しうる寄生虫などが解説されていました。入館無料で日本語の音声ガイドもありますので、ソウルを訪れた際は是非足を運んでみてください!【高野】