2025年9月21日

髙野剛史研究員が日本ベントス学会奨励賞を受賞しました

 日本ベントス学会は、底生生物(=ベントス)を研究する研究者・学生が集う学会です。奨励賞は、ベントス研究において優れた業績(論文や学会発表など)をあげ、同学会活動に大きく貢献した若手研究者に贈られるもので、当館の髙野研究員が2025年奨励賞を受賞しました。彼の研究テーマである寄生性の巻貝類の自然史研究が高く評価されたことになりますが、それ以外にもアニサキス科線虫や深海魚の吸虫の分類など、多様な展開をしていること、博物館で活動していることなども今回の受賞に繋がったものと考えています。実は髙野研究員、日本貝類学会からも奨励賞を受賞されていますので、2度目の受賞となります(2023年6月28日のブログ)。
 髙野さん、おめでとうございます!【倉持】

2025年9月20日

令和7年度博物館実習が終了しました

 去る9月3〜7日、令和7年度博物館実習を実施しました。今年度は、青山学院大学、鹿児島大学、筑波大学、東京農業大学、日本大学、北海道大学、武蔵野美術大学、八洲学園大学からご参加いただきました。オリエンテーションのあと、資料のデジタル化と利活用に関する実習と、サイエンスコミュニケーション実習を行いました。デジタル化では、山口原図をスキャンして画像ファイルを作る作業、フォトグラメトリーによる3次元データの取得、資料の利活用については9月14日の巖城研究室長によるブログのとおりです。最後の2日間は「くま組」と「いぬ組」に分かれてのグループワーク。それぞれ巖城室長と髙野研究員に研究に関する取材をして、プレゼンテーションを作製。それぞれ相手のグループにプレゼンしてわかりやすさを競うゲームです。学部や専攻が異なる大学生が集まり、共通の課題に取り組んでいただきました。【倉持】

2025年9月14日

山口左仲博士の論文原図展示を更新しました

 9月10日から、2階展示室の「山口左仲博士が論文に使った原図」展示が新しくなりました。
 今回の展示は博物館実習(9月3日〜7日)の一環として、実習生さんたちが論文の図版の中から展示したいものを厳選してパネルにレイアウトし、設置したものです。2016〜2017年度にも展示した、魚類に寄生する吸虫類に関する論文(1934年)の百数十点の図版から選んでもらいました。結果として前回と同じ図版が約7割を占め、人々を惹きつける図版は共通しているのだなと驚かされました。
 中央のアクリルケースには、約85年前に山口博士が瀬戸内海産のハモの胃から採集した吸虫類 Tubulovesicula muraenesocis のプレパラート標本と、掲載された論文別刷のコピーを展示しました。ぜひ合わせてご覧ください。 【巖城】

2025年9月13日

久留米大学医学部より資料をご寄贈いただきました

 日本住血吸虫症はかつて、九州の筑後川流域、片山地方(現在の広島・岡山県境付近)、山梨県甲府盆地などに流行し、古くから人々に恐れられていた恐ろしく悲惨な風土病でした。久留米大学医学部の感染医学講座真核微生物学部門(旧寄生虫学講座)には、初代教授の岡部浩洋(こうよう)博士(在任:昭和24(1949)〜昭和49(1974)年)以来の、本症制圧に至る貴重な資料が数多く遺されていました。今回、現職の井上雅広教授のご尽力とご厚意により、これら資料を当館にご寄贈いただきました。去る8月28日に梱包作業、翌日久留米を出発、9月1日に当館に無事到着しました。この先、これら資料を保存しつつデジタル化を進め、公開して多くの方々に利用していただくことを目指します。
 なおこのプロジェクトは、(公財)関西・大阪二十一世紀協会による2025年度「万博記念基金助成金」をいただいて実現しました。【倉持】

2025年9月5日

山梨県のミヤイリガイ生息地を再訪


  今年の6月に山梨県でミヤイリガイ調査を実施した同じ生息地に、8月31日、長野保健医療大学の高本雅哉 教授、館長の倉持、私(高野)の3名で再訪しました。新宿から特急電車で約1時間半の旅です。来年2月、山梨県における日本住血吸虫症の終息宣言から30年をむかえることもあり、今年の日本寄生虫学会東日本支部大会では、関連する施設やフィールドをめぐるエクスカーションが企画されています。今回はその下見でした。
 当日は大変気温が高く無風で、さらに生息地では草が茂っていて、6月の調査時と比べとても探すのに苦労しました。それでも生息は確認できたので良かったです。【高野】