6月15日に2階展示室の「山口左仲博士が論文に使った原図」展示の入れ替えを行いました。今回は鳥類に寄生する吸虫類と、魚類に寄生する寄生性甲殻類の原図を公開しています。
吸虫類の原図は、鳥類の消化管に寄生する棘口吸虫類を中心に選びました。この仲間は、頭部に短い棘の並ぶ襟(collar)があるのが特徴です。甲殻類では、スケトウダラのえらに寄生し、細長い首を心臓まで伸ばして宿主から吸血するヘモバフェス(
Haemobaphes diceraus*)の図もあります。
中央のアクリルケースには、ハシボソガラスに寄生する吸虫 オズワルドイア(
Oswaldoia corvi)のプレパラート標本を展示しています。この吸虫の原図と合わせてご覧ください。
日本の寄生虫分類学を切り開いた山口博士の並外れた研究への熱意と、それを支えた腕の良い画工たちの技を感じていただければ幸いです。【巖城】
*) 展示では「
Haemobaphes theragrae」と表記しましたが、これは山口博士の当時の論文記載に合わせています。