2021年11月21日

小笠原で寄生貝調査(後編):父島

調査の後半は父島に滞在しました。海岸から少し泳ぐとサンゴ礁が発達しており、様々な動物がみられます。

ご紹介するのは、ウニ寄生の巻貝の中でも特に変わった種類です。
バクダンウニトゲヤドリニナは、バクダンウニの棘を変形させ、その中で暮らしています。棘の中には卵がたくさん産みつけられており、棘に開いた僅かな隙間から幼生が放出されます。小笠原の中でも限られた場所でしか報告がなく、今回はこの貝を採りに行ったと言っても過言ではありませんでした。同行者の協力もあり、何とか得ることができました。今後の観察と研究が楽しみです。(*本種の採集は、東京都と環境省の許可を得て行っています)

バクダンウニトゲヤドリニナに寄生された棘。矢印の先に細長い穴が開く。

棘の中に巻貝が棲む。丸いものは貝の卵塊。

余談ですが、島のいたるところに、外来種のグリーンアノールというトカゲの仲間や野猫を捕獲する罠が設置されていました。父島は小笠原の玄関口なので、外来種対策は大変だと思います。在来の生物を守るための努力を実感しました。【高野】

グリーンアノール捕獲用の罠