2025年6月18日

山梨県でミヤイリガイの調査


 ミヤイリガイは日本住血吸虫の中間宿主として知られ、寄生虫研究者の間で最も有名な巻貝かもしれません。6月14日、山梨県でミヤイリガイの採集をする機会をいただきました。日本住血吸虫の継代・感染実験を行っている研究グループが、実験室内で吸虫を発育させるため、定期的にミヤイリガイを採集しています。今回はそのサンプリングに同行しました。かつて山梨県では、「地方病」の原因として恐れられた日本住血吸虫ですが、今では終息宣言も出ており安全です。一方ミヤイリガイは、日本住血吸虫撲滅の過程で著しく数を減らしてしまいました。研究の推進と自然界での貝の維持。これらの両立が求められます。

 私は海の寄生性貝類を対象に研究をしているため、貝のサンプリングはよく実施しますが、生きたミヤイリガイを見たのは初めてです。寄生虫館で研究をしているからこその調査を経験できたと思います。余談ですが、カブトエビもたくさんいて驚きました。【高野】

2025年6月11日

国立研究開発法人 水産研究・教育機構(三重県)の新田理人博士が来館されました

 6月6日午前に水産研究・教育機構の新田理人博士が、当館が所蔵する魚類の粘液胞子虫の標本を観察するため来館されました。対象の標本はプレパラートでなく、エタノールまたはホルマリン液浸標本だったので、写真のようにスクリュー瓶からシスト(嚢胞)を取り出し、実体顕微鏡下でスライドグラス上に一部を載せて観察する手順が必要でした。また、所蔵している粘液胞子虫タイプ標本の有効性についていくつか指摘をいただいたので、今後、標本提供者とも協議して情報を整理します。この日は、新田さんが研究論文に使われた単生類標本も、当館登録のため受領しました。【巖城】

2025年6月1日

沖縄で貝類と寄生虫調査



 
 5月22日から30日にかけて、沖縄県の伊江村(伊江島)と恩納村で野外調査を行いました。海底洞窟と潮間帯にて、寄生性貝類や巻貝に寄生する吸虫類の調査でした。得られたサンプルは顕微鏡下で観察・ソーティング(仕分け)が行われます。ちょうど今論文を執筆中の内容の、追加標本を得ることができました。希少種で、そもそも2個体しか手元になかったので、今回のものも含めて原稿を仕上げる予定です。


  梅雨入りのタイミングとなり、雨の日もありました。そのおかげ(?)か、宿泊地の周りにたくさんカタツムリが見られ、それらに寄生するカタツムリダニも多数観察されました【高野】